オペラオー流徒然草

競馬のことや最近気になっているゲーム・ラノベ・マンガ・アニメについて徒然なるままに。

電子漂民はケンタッキーダービー2016の予想をするか?

偉大なるアメリカの王、ふたたび

 

 

※速報  ケンタッキーオークスは2番人気キャスリンソフィアが制しました。1番人気のレイチェルズヴァレンティーナは6着と飛びましたが、2着ランドオーバーシー3着ルイスベイはキャスリンとほぼ同倍率の人気だったことから、実力通りの結果だったと言っていいと思います。レイチェルはレース前からかなり危うい人気でしたから仕方がないといえば仕方がない……。

 

 

Winning Post 8 2016

Winning Post 8 2016

 

 ↑父系と牝系が確立できる神ゲーです。自分の馬で系統確立とか胸が熱くなりますよ!

 

 

日本では桜花賞皐月賞という2つのクラシックを終え、3歳世代も古馬世代もまさにこれから大盛り上がりというところまでやってまいりました。

イギリスでも本日2000ギニーステークスが行われました。勝ったのはパコボーイ産駒のガリレオゴールドという面白すぎる馬でしたが、勝ちっぷりはそんなに悪くなかった印象です。

そんなわけで各国がクラシックレースに湧く中、この国もとうとうクラシックシーズンが開幕します。

世界一の馬産国・アメリカで、5月7日にケンタッキーダービーが開催されるのです。

当ブログは

 

adomaiyavodca.hatenablog.com

 

 こんな記事を書いて一足先に米国クラシックを応援してまいりましたが、いよいよ本番ということで筆者のテンションも最高潮まで高まってきています。

 

一体誰が勝つのか?誰が一番強いのか?そもそもどんな馬が出ているのか?

今回はその辺りを詳しく特集したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

1番人気 ナイキスト(Nyquist

無敗の2歳王者。前走フロリダダービーケンタッキーダービー下馬評1番人気だったモヘイメンに決定的な差をつけ勝利し、今回は不動の本命馬として参戦します。今回は2歳時にたびたび激戦を演じた宿敵スワイプが居ないこともあってすでに1強ムード。ナイキスト陣営は4年前の米国2冠馬アイルハヴアナザーと全く同じ顔ぶれということもあってこの馬での3冠制覇に情熱を捧げていますし、米国競馬ファンも前年に続く3冠馬の誕生を望んでいるようです。ケンタッキーダービーはこの馬にとって既に通り道でしかなく、最大の難関であるベルモントステークスのための布石を打ってくるのではないかとすら言われています。前走フロリダダービーのレース映像です。

RACE REPLAY: Nyquist Tops Mohaymen in Florida Derby

見て分かる通り、自ら先行して直線手前でスパートを掛け、最後は他の馬がバテる中突き離して勝っています。前半から飛ばし続ける米国競馬としては理想的な勝ち方で、しかも有力馬を倒すおまけまで付けてくれました。モヘイメンとの差は明らかで、本番では別路線からの馬がどれだけ成長しているかに注目が集まるでしょう。父はBCジュベナイルを制したものの3歳時はGⅡ1勝して引退してしまったアンクルモー。母父はダートの短距離向け種牡馬フォレストリー血統的に早熟・短距離の傾向が強く、本馬がBCジュベナイルを勝った時点でダービーの前に連勝は止まると言われていました。しかし蓋を開けてみればここまで7戦無敗。決してレース数が少ないわけではなく、距離や移動などをこなしてなお無敗というまさに怪物です。デルマーフューチュリティフロントランナーSを連勝しているのは去年の3冠馬アメリカンフェイローと同じですし、陣営もクラシックに精通しているとあらば、もはや必勝体制に思えます。

 

 

 

 

 

 

 

2番人気 エグザジェレイター(Exaggerator)

早くから素質を高く評価されていましたが、BCジュベナイルサンヴィセンテSナイキストに敗れて人気を落としていました。

しかし前走サンタアニタダービーではぬかるんだ馬場を突き抜け6馬身差の圧勝。一躍ケンタッキーダービーの有力馬に登りました。


RACE REPLAY: 2016 Santa Anita Derby Featuring Exaggerator

レースを見れば分かる通り、直線手前のコーナーで最高峰から一気に先頭に上がってそのまま突き離して圧勝という規格外の勝ち方をしています。脚質が追い込みナイキストと被らないのもいいですね。父カーリンは2007年のプリークネスSBCクラシック勝ち馬で、4歳時にはドバイWCも制しています。代表産駒のパレスマリスベルモントステークスとメトロポリタンハンディキャップを勝っており、距離は長くても大丈夫。この馬自身3着以内に入らなかったのがBCジュベナイル4着のみという超堅実派なので、今回も3着以内には入ってくるとおもいます。

 

 

 

 

 

 

 

2番人気 モヘイメン(Mohaymen)

2月頃まではケンタッキーダービー最有力候補と騒がれていました。前走フロリダダービーで負けるまで無敗の5連勝でGⅡ4勝という大躍進を見せた馬で、勝った全てのレースで最後流す圧巻のパフォーマンスを魅せてくれました。戦った相手が弱いのかというとそうでもなく、ホーリーブルSではシャンパンS勝ちのグリーンポイントクルセーダーを破り、ファウンテンオブユースSではケンタッキーダービーにも出走する素質馬ズールーを倒しています。前走はナイキストとの無敗馬対決ということで注目を集めましたが、さすがにGⅠを舞台に戦い続けた2歳王者とは勝負になりませんでした。しかしレース後に陣営が「馬場を気にしていた」と話していて、どうやら重馬場だったことが敗因らしいです。(レース内容はナイキストの欄の映像参照)

そのままケンタッキーダービーに向かってきたことからも、良馬場ならば真の実力でナイキストと対決できるという期待とそこへの勝機を陣営は見出しているのでしょう。父はウッドメモリアルS勝ち馬で北米リーディングサイアータピット。日本ではテスタマッタの父としても知られていますね。この馬は現役時ウッドメモリアルSを勝ったのみで(日本で言えばスプリングS勝ち)父のプルピットエーピーインディ直仔であること以外全く見所が無かったのですが、アメリカは重賞を1つでも勝っていたら種牡馬入りの可能性があるというとんでもない可能性主義なためなんとか種牡馬入り。初年度からスターダムバウンドという活躍馬を送り出し、数年でリーディングサイヤーにまで上り詰めました。母父のディキシーユニオンは日本でブルードメアとして成功したディキシーランドバンドの直仔で、アメリカではこのディキシーユニオン自身が母父として成功しています。なんとなく日本っぽい血統だな―と思ったら、今回日本調教馬として21年ぶりにケンタッキーダービーに参戦するラニタピット産駒なんですね。ちなみにラニは日本産馬ではなくアメリカ産馬です。今回の挑戦はカジノドライヴと同じ里帰りですね。

 

 

 

 

 

 

 

4番人気 ブロディズコーズ(Brody's Cause)

2歳時にブリーダーズフューチュリティを勝ち、人気を背負って臨んだBCジュベナイルでナイキストスワイプに完敗。さらに年明け初戦のサウスタンパペイダービーで7着と大負けして一気に人気をなくしてしまいました。しかし叩き2走目となった前走ブルーグラスSは後続を1馬身半したがえて快勝し、あらためて素質の高さを見せつけました。


RACE REPLAY: 2016 Toyota Blue Grass Featuring Brody's Cause

このように、GⅠの大舞台で鮮やかな差し切り勝ちを演じたブロディズコーズはアメリカ競馬にはめずらしい追い込みタイプの馬。今回の人気馬ナイキストが先行馬であることを考えると、脚質が被らないのはいいことですね。ジャイアンツコーズウェイ「鉄の馬」の愛称で親しまれた欧州のベストマイラーで、アメリカではBCクラシック2着という実績があります。それ故かアメリカで種牡馬として大人気で、今年のケンタッキーダービーの有力馬候補の中にもデスティンが直仔、モアスピリットが直系孫、ガンランナーがブルードメアクロップとGコーズフィーバーが巻き起こっています。母父はミスプロサルサビルの仔という良血馬サール。非常に有名なミスプロ×ストームキャットのニックスが二次的に発生している血統になります。血統的には活躍して当然と言った感じですね。

 

 

 

 

 

5番人気 ガンランナー(Gunranner)

GⅠ勝ち、人気上位4頭との対決はないものの、ここまでたった4戦でロード・トゥ・ケンタッキーポイントランキング1位に輝きました。デビュー2戦目のケンタッキーJCSこそ4着に敗れましたが、3歳になってからはリズンスターS、ルイジアナダービーと連勝。前走ルイジアナダービーは先行してレースを進め直線では右に左にヨレながらも後続のトムズレディーモトムを突き離して圧勝という並外れたレースをして見せました。


Gun Runner wins the Louisiana Derby

ポイントランキングでは2歳時に対象レースのケンタッキーJCSを使っていただけあって早くから上位に入っていましたが、なにぶん有力馬たちと全く当たらなかったので評価が低く、ランキングトップにもかかわらず5番人気タイに甘んじています。上のレースを見れば軽視はできないはずなのですが……。父はアルゼンチン産馬キャンディライド。このキャンディライドという種牡馬とその父系のファピアノはオススメ血統なので今後見かけたら注目してみてください。キャンディライドは現役時代アルゼンチンでわずか3戦のうちにGⅠを2勝し、鳴り物入りでアメリカに移籍すると、アメリカンH(GⅡ)、パシフィッククラシック(GⅠ)と2戦続けてレコード勝利を飾り、たった6戦で引退しました。その圧倒的な競走成績から多くの繁殖牝馬を集め、カリフォルニアローム世代の最強馬であり昨年疝痛で早逝した「史上最も悲運な名馬」シェアードビリーフを産み一躍評価が高まりました。しかしキャンディライド種牡馬としての成功は約束されたものではありませんでした。父ライドザレイルズは競走成績がパッとしなかったためアルゼンチンへ売られ、そこでもG1馬を数頭産んだだけ。母父のキャンディストライプスも今でこそインヴァソールデッファレントの父として知られていますが当時はただの2000ギニー2着馬でした。そこからキャンディライドのような種牡馬が生まれたのは、父系のファピアノの力があったからでしょう。ファピアノ自身は競走成績が地味で、GⅠ1勝に留まりましたが、種牡馬としては大成功。初年度からBCジュベナイル勝ち馬タッソーを産み、その後はガンランナーの曽祖父であるクリプトクリアランスアルクワイエットの父クワイエットアメリカンなど数多の名馬を輩出しました。中でも注目したいのがケンタッキーダービーアンブライドルドです。アンブライドルドは現役時もケンタッキーダービーBCクラシックを制するなど大活躍しましたがなぜか年度代表馬を獲得できず、失意の中種牡馬入りした経緯があります。種牡馬入りすると現役時のうっぷんを晴らすかのように活躍馬を量産し大成功するのですが、そこから30年経ってとさらにすごいことが起こりました。アンブライドルド産駒のグラインドストーンアンブライドルズソングエンパイアメーカーエディントンの父系が今も残り拡大を続けているのです。しかもそれぞれが何らかの偉業を成し遂げており、グラインドストーンは自身、仔(バードストーン)、孫(マインザットバード)の3代続けてクラシックレースを勝利し、アンブライドルズソングは父、自身、仔(アンブライドルドエレイン他)で3代続けてBCの異なるカテゴリーを制覇エンパイアメーカーは孫のアメリカンフェイローが昨年26年ぶりのアメリカ3冠を達成し、エディントンの仔シークレットサークルはBCスプリントを勝ってアンブライドルド系で元祖BCダートカテゴリー制覇を達成しました。今最も勢いがあり、そして今後もその勢いが減衰することはないであろう不滅の米国血統、それがアンブライドルドでありファピアノなのです。

 

 

 

 

 

 

5番人気 デスティン(Destin)

ガンランナーと同率の5番人気ですが、こちらは少し信頼性に欠ける感があります。ここまで5戦3勝。重賞2勝。ステークスに上がってからはタンパペイD1700で行われた重賞2つを勝ってここに臨んできました。特に3勝目の前走サウスタンパペイダービーは後のGⅠウッドメモリアルS勝ち馬アウトワークを下していて、実力はあると見られています。しかしガンランナー以上に有力馬との対戦経験が少なく、前走で倒したアウトワークですら評価は高くありません。サウスタンパペイダービーには他にもブロディズコーズオーサムビナーという人気馬が出走していましたが、明らかに調子が悪かった様子なので対戦に数えるのはどうかと……。


2016 Lambholm South Tampa Bay Derby Gr 2 - Destin con Javier Castellano - T. Bay Downs - 12 Mar 2016

 このようにレースの勝ちっぷり自体は素晴らしく、一発を期待するのも分かる気がします。全米リーディング常連の厩舎管理ということでもありますし、現地の期待も大きいようです。父はブロディズコーズの欄でも紹介したジャイアンツコーズウェイ。母父はシベリアンサマーというほぼ無名馬です。父はともかく母系が大変地味で、種牡馬需要がありそうだなと感じました。

 

 

 

 

16番人気 ラニ(Lani)

日本調教馬として95年のスキーキャプテン以来21年ぶりケンタッキーダービーに出走するラニ。今回の遠征は当時とは全く様子が違っています。開業10年で米・首に遠征実績がある松永幹夫調教師、生産者はサンデーブレイクを米国でデビューさせ種牡馬にまでしてみせたノースヒルズ。米国遠征において人脈もノウハウも揃った理想的なチームと言えるのではないでしょうか。ラニ自身のスタイルも非常に外国向けです。ラニは気性が悪いことで有名で、常にかかり気味のレースをしてきました。それでも国内では2連圧勝、UAEダービーでも早めにマクって勝利と強さを印象づけています。アメリカ競馬はスタートからペースが全く緩まない”サバイバルレース”と言われており、日本馬でこの恐ろしいペースに対応できる馬は非常に少ないですが、ラニがここまで見せてくれたレースはどちらかと言うとアメリカ寄りの先行抜け出し競馬。ハイペースについていくことさえできれば戴冠は十分可能だと思います。今年はメンツがそれほど濃くは無いですからね。


2016 UAEダービー(GⅡ) ラニ 武豊1着!!!! 日本語実況

UAEダービーは日本馬が3頭出走していた(しかも皆OPでの実績無し)ということでレースレベルが疑問視されていますが、2着のポーラーリヴァー牝馬としては一流馬なのでものさしとしてはいい感じです。ちなみにポーラーリヴァーケンタッキーオークスに登録していましたが回避が決定しました。ソングバードポーラーリヴァーもいないケンタッキーオークスで3歳牝馬の頂点を決めることはできるのでしょうか……?今のところレイチェルズヴァレンティーナが1番人気のようですが……。ともかく、ラニは現地では全く評価されていませんが悲観することはないということは伝えておきたいと思います。調教で全く動かないラニを見て現地メディアが松永師に「正気か?」と問いかけたというエピソードも耳に入っていますが、日本でラニを追いかけていた人ならご存知の通り普段から奴は調教で動きません。ドバイでもそうでした。なので今回もいつものラニくんやなって感じで応援してあげましょう。父はモヘイメンと同じタピット。アメリカでの実績は既に述べたとおりで、2歳3歳戦に強いクラシック向け種牡馬として有名です。母父はご存知サンデーサイレンス。忘れられがちですが、サンデーサイレンスは本来アメリカでケンタッキーダービーBCクラシックを制するなど、競走馬として活躍した馬です。母の父として、孫にその能力が受け継がれていることを祈りましょう。

 

 

ウイニングポスト8 2016 最強配合理論

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 ↑ウイポやってなくても読むだけで楽しかったりします。現在の血統のことに関して結構細かく書いてあるので、普通に血統学の本探すよりウイポの血統攻略本を毎年買ったほうが良いかもしれませんね。